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Tolkien Witing Day: お薦め関連書籍

Reading The Lord Of the Rings :New Writings Tolkien’s classic

Edited by Robert Eaglestone

 
洋書。トールキンの著作についてのエッセイ集。様々なテーマ別に批評家や研究者、各分野のライターの見解が幅広く知れる一冊。
とりわけ興味深いのがPart 3:Gender, Sexuality, and classの章収録のテーマである”Woman”(女性), ”Masculinity”(男らしさ), ”Homoeroticism”(ホモエロティシズム), ”Service”(奉仕)に関する4篇。ジェンダー方面からは何かと女性の役割が弱いだの男性権威主義的だのホモソーシャルだのと指摘を受けがちなトールキン作品における、キャラクター同士の関係性や表象についてかなり突っ込んだ視点で書かれています。「こういうところ、好きだなあ」「ここのやりとりが熱いよね!」と思っていたそんな感情に、論理的に説明をつけてもらう感覚とでもいいましょうか。
 原作だと台詞や地の文といった「言葉」によって表わされていた関係性が、映像になった時にどういう風に変化していたのか、そこの読み取れる感情の糸etc... キャラ重視で深読みに深読みを重ねたい人には、読み物として十分面白い文章です。
 もちろん、他の章の批評史や、時間の概念について、一つの指輪についての考察などなど他にも多様な角度で考察がまとめられておりますので、自分の興味のあるトピックからかいつまんで読める「評論アンソロジー」のような本です。
 
 

ユリイカ 詩と批評「特集 トールキン ――モダンファンタジーの王国」(1992 vol.24-7)

ユリイカ 4月臨時増刊号「総特集 『指輪物語の世界』 ファンタジーの可能性」(2002)

 
今も様々なテーマで批評文やエッセイ・コラムを載せてくれているユリイカのトールキン関連特集の号。それぞれ20年前と14年前のものですが、前者はトールキン自身への作家性や原作のテキスト読み込み要素が多めなのに対し、後者は映画の公開に合わせて組まれた特集なので映画LOTRへの言及も見られ、比較すると面白いです。
ジェンダー方面だと小谷真理「リングワールドふたたび 『指輪物語』あるいはフェミニストファンタジーの起源」、マリオン・ジマー・ブラドリー「人間と小さい人と英雄崇拝」の二つは読み物としてもオススメ。
 

ファラミアは、アラゴルンに対するエオウィンの愛は男性としての英雄崇拝にすぎぬと明快な言葉で切って捨てる。「『あの方はおそらく、あなたには若い兵士の目に映ずる偉大な大将のように讃嘆すべきものに見えたのでしょう。あの方はその通りだからです……』」(ブラッドリー,133p)



 エオウィンもまた“英雄時代”――少女が自分の性別と限界に反抗し、男性的行為を夢見る時代の終焉を体現している。(ブラッドリー、132p


 
この辺のキャラクター心理を、巧みに噛み砕いて説明してくれているくだりなんかは「成程!」と膝を打つ部分です。
映画だけ見た人に「エオウィンって要するにアラゴルンにフラれたんでしょ?」と言われると、「違う!そんな簡単な事情じゃ無くてですね…!」と前のめりで説明したくなるあれこれ。先人の言葉を借りて理論武装(?)してみるのもいかがでしょうか(笑)
 
 
Unsung Heroes Of The Lord Of The Rings: From The Page To The Screen  Lynnette R. Porter 
 
こちらもまた洋書です。(日本語訳未出版)タイトルの「謳われざる英雄たち」とあるように、批評分野において扱いがいまいち地味なキャラにスポットを当てて考察・批評を行っている本。
だいたい指輪の研究で文献を読むと、やはり取り上げられるのはフロド、サム、アラゴルン、あとジェンダー系で人気なエオウィンあたりに偏るのが現状ですが、この本ではそれ以外のキャラクターの役割や象徴について細かいキャラ考察を行っています。
なんといってもレゴラスとギムリをピックアップしてくれていることが嬉しい一冊!

Gimli and Legoras both present the most important coronation “gifts” to Aragorn: his crown and his bride. Through their place in the ceremony, Gimli and Legoras are shown in important roles. … Legoras leads the contimgent of Elves who, seemingly Aragorn’s surprise, have arrived to present Arwen as a bride. … Thus, Gimli and Legoras symbolically lead Aragorn into his two greatest roles as king and as husband/bridegroom.( Porter ,158p)


上記は、いわゆる追跡トリオ――ことアラゴルン・レゴラス・ギムリのトリオの関係性に新しい視点を貰った下りです。映画の戴冠式シーンでそれぞれ美味しい立ち位置を貰っていたあのシーンについての言及ですが、「ガンダルフの横で王冠を捧げ持つギムリ→王になることへの手伝い」「花嫁(アルウェン)を指し示すレゴラス→夫/花婿になることへの手伝い」という内容。ずっと野伏の身分だったアラゴルンが真にエレスサールになるときにこの3人の絆が映像で表彰されていたのだなと実感させられました。
 原作・映画両方の描写の共通点や差異についても触れているので、キャラ改変が大きかったアルウェンなどの考察もお薦めです。
 


とまあ、若干批評系・ジェンダー系に偏ったチョイスではありますが、お薦め関連書籍4冊でした。
原作や映画に触れた時に「ここのシーン、台詞、言葉にならないくらい良い!!」と思ったり、「何でこんな風に改変しちゃった?どういう意図だ?」と首をひねったり、そういう時に「こういう切り口・見方で考えたら?」とヒントをくれる、あるいは自分が上手く言い表せなかった言葉を示してくれる――これが批評文・評論文の面白さだと思っています。

 きっと原作を読み返すとき、新たな発見のヒントにもなるのではないでしょうか?
 
 
※この記事はTolkien Writing Day(9月22日)に参加しています。http://bagend.me/writing-day/ 
 

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